LAILA & MAJNUNLAILA& MAJUNUN(Qais Ibn Al Mulawwah) マジュヌーン(カイス・イブン・ムラッワフ) レイラとマジュヌーンの物語は広くイスラーム諸国では知られている。 本名はカイス・ムラッワフという。 アミール・イブン・サアサア族の青年で、 同族の娘レイラ(またはライラ)への恋狂いの話はとても有名。 スーフィーの愛の象徴としてよくあげられている。 インド、特にラージャスターン地方を旅していると、あちこちの店先に レイラとマジュヌーンの絵画や絨毯などがならべられている。 アラビア版ロミオとジュリエットのようだとも語られている。 この詩的な物語は Muhammad Ilyas ibn Yusufibn Zaki Mu'ayyad によってかかれたものである。 またの名を、ペンネーム、Nizami(二ザーミー)として知られる。 アゼルバイジャンに1141年生まれ、1209年没。 母はクルドの指導者の娘であった。 この物語は、レイラにどうしようもなく恋焦がれた カイスというひとりの若者の情熱的な愛の物語である。 カイスの彼女に対する愛は偏執的なものになり、 その思いの激しさのあまり常軌を逸したようになり、 彼女の父親が娘に他の男との結婚を強いてしまう。 カイスの両親はありとあらゆる手段、占いや魔術にいたるまで手を尽くし、 レイラに会うことを禁じようとする。 カイスは取り乱し、街の通りをうろつく奇怪な行動をする為、 皆から「Majnun」(ペルシャ語で「狂気」の意)と呼ばれるようになる。 あわれに思った友人達はマジュヌーンに 「レイラよりももっと美しい少女をたくさんつれてこよう、 君はその中から好きな子を選べばいい」と説得するが、 マジュヌーンは取り合わずこういった 「私の眼はレイラの美しさだけを見るためだけにあるのだ、 そうでないのならこの眼はいらない」 といい、もう二度と何も見ようとしなかった。 また、あるとき、哀れに思った神その人が、彼の前に現れて、 「私を見上げなさい、そうすればお前は救われるだろう」 といわれた。 しかし、マジュヌーンは 「あなたがいくら神その人であろうとレイラの姿で来なければ、 私は眼を開くことはないでしょう」と答えた。 その状態にマジュヌーンの両親はもはや絶望的状態になった また、マジュヌーンにとっても生も死ももはや同然であった。 レイラを探して街をうろつく彼を皆は哀れに思った。 偶然に彼はらくだの後ろに郵便物をつんだ郵便配達人に出会い、 マジュヌーンは彼にレイラの所在を尋ねた。 郵便配達人はこう言った。 「彼女の両親はここから100マイル離れた場所に住んでいるよ」 それを知ったマジュヌーンは、 メッセージを彼女へ渡して欲しいと懇願した。 そしてマジュヌーンは彼にメッセージを語り始めた 「喜びとともに、・・・・・・」 マジュヌーンのメッセージはそれはそれは長く、 いつまでも愛を語り続けた。 それはまるで愛のメッセージには終わりがないというように・・・。 郵便配達人は時折それを楽しみ、そして、 時折、そんなマジュヌーンの真面目さに同情した。 そのようにしてマジュヌーンは彼のラクダとともに歩き始めた。 長い旅の友として歩き始めた。 彼は哀れんで言った。 「もうすでに10マイルも歩いている。 もう10マイル分だけ君のメッセージを聞いてあげよう。」 そして10マイル歩いた後、郵便配達人は言った。 「さあ、もうお戻りなさい、私がきっとメッセージを届けよう」 そして、マジュヌーンはもと来た道を戻った。 しかし彼は100ヤード行った所でまた戻って来てこう言った。 「おぉ、なんて親切な御方よ、私はもうひとつ忘れていたことがある。 お願いだ、もう2・3のことをレイラに伝えてくれないか。」 そしてまた長い長いメッセージを語りながら、 およそ10マイル、彼の道を着いていった。 郵便配達人は言った、 「もうお戻りなさい、もうすでにあなたは長い道のりを歩いている。 それにあなたのその長いメッセージを どのようして私が覚えていられるというのだ? だが、私も努力はしよう、さあ、もうお戻りなさい」 だが、またしばらくして、マジュヌーンは彼の元に戻って来ては 新たなメッセージを伝えるのであった。 そしてこのようにして、全旅行は、完遂され、 そしてついにマジュヌーン自身もそのメッセージが送られるべき場所へと たどり着いてしまった。 郵便配達人は、この熱心な愛に驚き、そして言った、 「あなたはレイラが生活する土地に既にたどり着いた。 だが、今夜はこの壊れたイスラム教寺院に泊まりなさい。 ここは、町の郊外にある。 もし、あなたが私と共に町に来るならば、 レイラに会う前に君は危険にさらされるであろう。 それに、これほど長い距離を歩いたのだから あなたには今、休息が必要だ。 私は出来うるだけ早くレイラにあなたのメッセージを伝えてこよう」 愛は時間をも空間をも超越しうる。 マジュヌーンは、彼のアドバイスを聞き、そして、そこにとどまった。 彼自身レイラが住んでいる町にいるという事実は、彼を不思議に思わせた。 また、どこに レイラが住んでいるのかわからなかったマジュヌーンは 北、南、東、及び、西について思慮したが どちらの方向に足を広げるべきか解らなかった。 「彼女に向かって私の足を伸ばすことは、私の横柄であろう。 最も良いものは、上方からロープによって私の足を掛けることであろう。 確実に、彼女は、そこにいないであろうからだ」 とマジュヌーンは思った。 ”恋人の[Ka'ba] は、最愛の人の居住地である” マジュヌーンはのどが渇いていた、 だがそこには古びた雨水のたまった汚れた水しか発見できなかった。 郵便配達人がレイラのの両親の家に入ったとき、 彼は、レイラを見つけて、彼女に言った。 「私はあなたに会うために大変な努力をしました。 あなたの恋人、マジュヌーンからメッセージを預かっています。 世界中のどこを探してもあのような恋人はいないでしょう。 彼は、旅の間の至る所で私にあなたへのメッセージを語り続け、 そして、途方もない距離をこの町まで歩き続けました。」 レイラは、言った、 「おお、神よ、なんて可哀想なマジュヌーン! 彼はいったいどうなってしまうの…」 レイラは彼女の乳母に尋ねた。 「休みなしに100マイルも歩く人などありましょうか? そのような人はあまりに向こう見ずで死んでしまうかもしれないわ。 なにかいい薬はないでしょうか?」 その年老いた乳母はこう言った。 「あらゆる療法を試みなければなりません」 だが真実の愛は、それ自身が、傷の治療者である 翌朝、レイラは、密かに彼女の為の食事をバスケットに詰め、 そしてメイドにメッセージを添えて送らせた。 「できるだけ早く、そして長く会えるようなチャンスを 持てるような方法を考えています。あなたに必ず会いに行きます。」 そのメイドは、古びたイスラム教寺院に行き、そして、 2人の人間がそこに座っているのを見た。 そのうちの一人は自己陶酔したように夢見がちのように見え、 もう一方の人は、太っていて、強そうに見えた。 メイドは、自分なら愛したいと思わないこの自己陶酔したような人物を レイラ自身も愛さないであろうと考えた。 しかし、念のため、彼女は、マジュヌーンはどちらかと尋ねた。 マジュヌーンの心は、はるか遠くレイラのことを思い煩っていた。 彼の思考はレイラのことを思い煩うあまり、 そのメイドの言葉は届かなかった。 しかし、もう一方の、一日の仕事を終えたばかりの男は、 彼女の手につりさげられたディナー‐バスケットを見て嬉しく思い、 そして、こう言った、 「あなたは誰を探しているのですか?」 「私は、これをマジュヌーンに与えるようにと使わされて参りました。 あなたがマジュヌーンですか?」 その男は手を伸ばし、バスケットを受け取った。 そして言った、「わたしはそれを受け取るべき者ですよ」 そして彼女に一言二言の礼をのべた。 「あなたはどのような方を見てきましたか?」 帰ってきたメイドにレイラは聞いた。 「マジュヌーンにバスケットを渡すことは出来たの?」 メイドは答えて言った「ハイ、お届け致しました。」 レイラは、それから毎日、彼女の食事をより多く用意し マジュヌーンに送った。 だが、それは、また同じように毎日、この太った男に手渡された。 それは毎日、仕事が終わると届けられたので、 この男は 非常に嬉しく思った。 ある日レイラはメイドに尋ねた。 「あなたは決して何も報告をしはしない。 彼は、一体何を話してどのように召し上がっているの?」 メイドは報告した。 「そのお方はこうおっしゃっています。 ”ありがとう,あなたに感謝を送ります。” それにあの方は、とても愉快なお話しをされる方ですね。 どうぞ、ご心配なさらないでください。 あの御方は毎日少しずつお太りになられています。」と言った。 それを聞いたレイラは驚いて言った。 「なんということでしょう! 私のマジュヌーンは決して太ることはありません。 そのような傾向を持ったためしも無いし、 まして誰にでも愉快なお話しをするそのような御方ではないわ!」 レイラはすぐに間違った相手にディナーを届けていたことに気がつき 大変哀しく思った。 彼女は尋ねた。「ほかに誰かがそこにいたのですね?」 メイドは答えた。 「はい、もうお一人方、いらっしゃいました。 けれどもかれは彼自身の中にいすわり、誰が来ても誰が行こうと 聞くことも話すこともありません。 決して周りを気にとめることもないのです。 あのような方があなた様の恋人とは思えません。」 レイラはいった「そのお方こそがマジュヌーンです!」 「あぁ…、すべて間違った人に食事を与えてしまった。」 そこでレイラはナイフを取り出し メイドにメッセージを伝えるようにと言った。 「真実を確かめる為に今日は食べ物のそばにナイフを持たせましょう。 そしてこう告げてください。”レイラは病に臥せっています。 その病気のためにいくばくかの血液が必要です。 その血があればレイラの病は治るでしょう”と。」 次の日、メイドがイスラム教寺院に行ったとき、 その男は食事を受け取る為に、熱心にいつものようにやって来た。 そして、ナイフを見ると、大変怯えだした。 そのメイドは、彼の血の2、3滴をレイラの病を治療するのに必要だ、と 彼に告げた。 彼は、慌ててこう言った、 「いいえ、確かに私は、マジュヌーンではありませんでした。 彼なら向こうにいます。だからそれは彼にに頼むといい!」 そのメイドは、恐る恐る彼に近づき、そして、声を荒げて言った、 「レイラは、いくばくかの血が必要です。 病を治す為にあなたの血の2、3滴をください。」 マジュヌーンはそれを聞くとすばやくナイフを手にとり、 そして、こう言った。 「あぁ、なんと私は幸運であろう! 私の血の滴が私のレイラに幾分か役に立つかもしれないなんて。 私の生が彼女の回復のために犠牲になったとしても、 そんなことは何でもない事だ!。 もしそうであったとしても、 私は、自分を最も幸福であったと考えるだろう! 最愛の人のために、それが何であろうと与える事は、 決して多過ぎることはない。」 すぐさま、彼の腕はナイフによって深く傷つけられた。 しかし、あまりにやせ細っていた彼は、ほんのわずかしか 血を残していなかった。 皮、骨以外にもう何もなかった。非常に多くの場所をカットした後、 ようやく血の一滴のみ現れた。 彼は言った。「…これだけが残されたものである。」と。 愛の意味するところは痛みのみ。 だがそのすべての痛みのうえに愛は顕される。 マジュヌーンが町にやって来た事は、すぐに知れ渡り、 そして、またレイラの両親がそのことを知り 「レイラがまたマジュヌーンに会うならば、 レイラもまた、正気を失うであろう」と考えた。 それゆえにレイラの両親は、 マジュヌーンがこの家を見つけ出す前に、 また暫くの間その町を離れることにした。 その家を去る前に、レイラはマジュヌーンにメッセージを託した。 「私達はしばらくの間ここを離れることになりました。 あなたに会う前にここを離れるのは私にとって最も不幸なことです。 その旅立つ道の途上で唯一、私達が会えるチャンスがあります。 もし出来うるならサハラ砂漠で待っていてください。」 マジュヌーンはもう一度レイラに会えるという大きな期待とともに サハラ砂漠に出かけていた。 レイラたちを乗せたキャラバンがその砂漠にさしかかり、 そこで暫くとどまっていた時、レイラの両親は少し安心していた、 というのもレイラの顔が幸せそうに見受けられたからである、 だが両親はその本当の理由を全く知らないでいた。 レイラは、彼女のメイドと共にサハラ砂漠へ少しの間、散歩に行くといい、 マジュヌーンを見つけに行った。 そして、マジュヌーンを見つけると飛び掛るようにして彼のもとへ行き 「マジュヌーン!!私はここにいるわ!」と叫んだ。 だがもうマジュヌーンには彼のその思いの喜びを語れるほどの パワーはあまり残されていなかった。 マジュヌーンはレイラの手をとり胸に押し当てながらこうささやいた。 「レイラ、私からもう二度と離れないでおくれ・・・」 レイラは言った 「あぁ、けれども、マジュヌーン…、 私はここにはほんの少ししかいられない。 もし私がここに長い間とどまるならば、 々は私を探し出し、あなたを見つけたならば 即座にあなたに危害を与えるでしょう。 そうなれば、あなたの命が危なくなる…。」 マジュヌーンは言う 「私は命など惜しくはない、あなたが私の命そのものなのだから…。 どうかお願いだ、私から去らないでおくれ」 レイラは震える心を抑えこう言った、 「マジュヌーンどうか私を信じていてください、 私は必ずあなたの元に戻ります。」 マジュヌーンは彼女の手を離し、そして言った 「きっとだね! 君を信じているよ」 そして、レイラは引き裂かれるような思いで、その場を去って行った。 マジュヌーンはすでにもう立ち上がれないほど ただ一つの希望のみを抱いてそこに滞在し続けた。 やがて年月も経ち、彼の体はしだいにそぎ落とされていった。 寒さや熱さ、雨や霜、嵐にもさらされ、 マジュヌーンの体はもはや半分は死んでいた。 彼の手は木の枝のようにひからび、 彼の体も木の一部のようになってしまった。 レイラはまだ彼女の人生の途上で不幸せなままだった。 彼女の両親もそれをみてまた希望を失っていた。 彼女はただ一つの希望のみで暮らしていた。 彼女が残した約束がいつか叶えられることだけが生きる希望であった。 "私は必ずもどる"と・・・ レイラは、彼はまだ生きているのか、死んでしまったのか、 もしやサハラの危険な動物に襲われはしなかったか” とそればかりが気がかりだった。 しばらくしてキャラバンが再び以前住んでいた町へと戻ることになった。 レイラの心は揺れ動いた、 "喜びと哀しみ"、"闇と光"、"恐怖と期待"の狭間で…。 そしてキャラバン隊はまたサハラ砂漠にさしかかった。 以前にマジュヌーンと分かれたまさにその場所で、 レイラは一人のきこりに会った。 きこりは言った 「お嬢さん、そっちには行かない方がいい。あそこにはゴーストがいる」 「それはどのようなものです?」レイラは尋ねた。 「それはまるで木のようなんだがー、人のようでもある。 わしがその木の枝を切り落とそうとしたら、 ”おぉ、レイラ…”とため息のように言うのが聞こえたんだ」 その話しを聞き終えるよりも早く彼女はマジュヌーンのそばに駆け寄った。 木のそばに寄りかかった彼のその体には、 新鮮な血液はもうすでに干からび、皮と骨だけが残り、 まるで木の一部のような姿になっていた。 レイラは声を出して彼を呼んだ、'マジュヌーン!' 彼は答えた「レイラ…!」 「私は約束したとおり戻ってきたわ。おお、マジュヌーン!」 彼は答えた「あぁ…。僕はレイラだ。」 レイラは言った 「マジュヌーン!しっかりして。私はレイラよ。私を見て…!」 マジュヌーンはこう答えた 「あなたがレイラ?それならば僕は違うのか?」 そして彼は息絶えた。 レイラは愛の完結をそこに見た。 もうそこにただの一瞬でも生きる理由が無くなった。 そして彼女もまた同時にマジュヌーンの名を呼び死の中へと落ちていった。 ”最愛の人は、なによりも大切なものである。 恋人のみが、すべてをおおい隠す。 最愛の人は、生の全てである、恋人の死は生の終わりであるように”。 以上の物語はすべて二ザーミー著書 "レイラとマジュヌーン" の英訳本をおおまかに抜粋、 そしてこんな感じかなぁ~ という独断と偏見で訳したものですので、 誤字、脱字、訳違いが多々あるだろうと思われるため、 決して参考にしないで下さいね。 概要のすべてを知りたい方は 二ザーミー(英字のみ)をご参照ください。(汗) SUFIBOOKS(英字のみ)検索は こちらからどうぞ ジャンル別一覧
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